日本で生活しながらメンタルヘルスをケアする方法
コラム
2026/10/09
皆さまはいよいよ、待ちに待った日本行きの飛行機に乗るときが来ました。日本で働いて自分で収入を得る楽しみ、近所の人とのちょっとしたおしゃべり、もしくは職場でできる友達…。それぞれの期待を胸に、母国を離れる瞬間は、嬉しくわくわくしながらも、家族や友人と離れ離れになってしまうという悲しみや寂しさもきっとあるでしょう。
特に、初めて来日した外国人の方であれば、多くが感じることです。来日直後にこうした気持ちを抱くこともあれば、時間がたってから気分の落ち込みを感じることもあります。初めて来日した方々の中では、一週間ほどで実家の夢を見たという方もいますし、当時は一人で海外に来た高揚感と寂しさが入り混じり、気持ちが落ち着かない日々が続いたとおっしゃっていました。
当記事では、これから日本に来る外国人の方に向けて、特に「こうした気持ちをすでに経験した方や、これから日本に来る予定で複雑な気持ちを抱えている方に役立つようメンタルヘルスのケア方法を解説していきます。
1.心の不調に気づくための小さなサイン
まずは、自分の心や体の状態に目を向けてみましょう。ここでいうのは、病名を自分で判断することではなく、いつもと違う変化に気づくことです。たとえば、夜なかなか眠れない、食欲がない、感情の波が激しい、何をしてもすぐに疲れてしまう、人と話すのが難しいといったことはありませんか。心や体にこうした変化が現れたら、不調のサインかもしれません。
ただし、気になる症状を一人で抱え込む必要はありません。いつもと少し違うと感じたら、一人で抱え込まず、相談できる人に頼ってみましょう。公的機関などが運営する相談窓口を利用するのもよい方法です。職場の上司や同僚に相談してもよいですし、友人や家族に話してみるのもよいでしょう。

2.自分でできる、心を整える習慣
もし今、心や体の不調を感じているなら、試してみることのできる方法をいくつかご紹介します。
・起床、食事、睡眠のリズムを可能な範囲内で整理する
・散歩や軽い運動を通して外に出る
・母国の家族や友人と定期的に連絡を取る
・日本語や仕事に対して無理のない範囲で小さな目標を立てる
・趣味、好きな食べ物など、完全な自分自身でいられる時間をつくる
・「最初はできなくて当たり前」をベースマインドセットで
上記の項目の中で最も大切なのは、おそらく最後の項目でしょう。当然最初から何でもできる人はいませんし、失敗を重ねる中で、自然と学ぶことが増えていきます。たとえば、「経験が少なかった」や、「日本語が分からなくて恥ずかしい思いをした」などと感じることは十分ありえると思いますし、実際に経験した方も多くいます。また、こういう同じような経験を何度もすると自信をなくし、外に出ることが怖くなり、ホームシックになることもあります。
人それぞれだとは思いますが、日本に来られた場合、生活習慣や文化、言語などの違いによって戸惑いを感じる場合もあり、まれではありますが、差別を受け、心に深い傷を負うこともあります。これは本人が気をつけるだけで防げるものではありませんので、なおさらメンタルヘルスのケアが重要だと言えます。
また、すべて充実しなければならないというプレッシャーを感じるよりも、今の自分でできることを優先的に試してみるのも良いでしょう。

3.逃げることを恐れない
仕事やお金、人間関係も大切ですが、それ以上に大切なのは、今の自分の心身の状態です。どれほど良い職場や収入に恵まれていても、それらが自分を疲れさせたり、精神的に追い詰めたりするのであれば、長く続けるのは難しくなります。
日本での生活を始めるとき、多くの人が「頑張ろう」という気持ちで来日します。しかし、実際には、2、3年ほどで日本を離れ、母国に帰る人も少なくありません。
最初は、言葉の壁や文化の違い、仕事の悩みもすべて乗り越えられると信じていたかもしれません。けれども、時間がたつにつれて疲れや孤独感が積み重なり、「本当にここは自分に合った場所なのだろうか」という疑問が大きくなって、最終的には日本での生活を続けるのが難しくなることもあります。
筆者が日本での生活を続けてこられた大きな理由の一つは、「つらいときに安心して休める場所がある」と感じられたことです。それは、必ずしも物理的な場所である必要はありません。心の中に「休んでもいい」と思える余地を持つだけでも、支えになることがあります。
安心できる場所は、自分の家や家族の家かもしれませんが、必ずしも特定の場所でなくてもかまいません。たとえば、「必要なら環境を変えたり、新しい仕事を始めたりできる」と思える心の余裕や、疲れたときにゆっくり休める場所があるという安心感だけでも、気持ちが少し楽になることがあります。
どれほど条件のよい環境でも、それをプレッシャーに感じ続ければ、いつか限界を迎えてしまうことがあります。だからこそ、自分が安心して休める場所や、別の選択肢があると思えることが大切です。
実際に日本で長く暮らしている人を見ると、「もう後戻りできない」という状況に自分を追い込まないよう、備えている人が多いように思います。ある程度の貯蓄をしたり、母国の家族や友人と連絡を取り合えるつながりを保ったり、「失敗しても大丈夫」と考えたりしているようです。
一方で、「ここで失敗したら終わりだ」という考えにとらわれすぎると、小さな困難にも動揺し、諦めてしまうことがあります。そこで、「今の自分には、いざというときに別の道を選べる余裕があるだろうか」と自分に問いかけてみましょう。逃げ道や選択肢があると感じられるだけでも、心に余裕が生まれ、目の前の一日を前向きに過ごしやすくなります。
日本での生活に限らず、どのような環境でも無理なく続けていくためには、自分を守るための備えや、いざというときの選択肢を用意しておくことが大切です。

4.まとめ
これから日本で生活を始める方も、すでに日本で暮らしている方も色んな理由で気分の浮き沈みを感じたり、憂うつになったりします。そんな状況で必要なのが自らのメンタルヘルスのケアであり、まずは心身のサインに気づき、自分の気持ちを整理する習慣を身に着けること、誰かとともに過ごす時間をつくることがベストですが、いつでも安心して休める場所を持つことも大切です。
この記事の内容が必ずしも正解というわけではありませんが、もしつらい時期を過ごしている方がいらっしゃれば、当記事を読み、少しでも参考になれば幸いです。
皆さまが日本で楽しく、安心して生活できることを心より願います。
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